土留めを兼用するブロック塀は注意が必要

先日の朝日新聞の社会面に

『ブロック塀 対応に差』という見出しで

各都道府県で

危険なブロック塀が確認された学校数と

それに対する対応済みの学校数の

表が載っていた。

 

私が住む神奈川県には危険なブロック塀を有する

学校が283校あり、

応急対応策済みの学校が235校と記載されている。

 

写真は私が住む横浜市戸塚区内の小学校のブロック塀。

上の記事が出た数日後に撮影したもの。

 

ブロック塀の間のアルミフェンスには

『注意!ブロック塀安全確認中』の張り紙が

張ってある。

大阪の地震以前はこの張り紙はなかった。

新聞記事で危険なブロック塀が確認された

学校数と応急対応策済みの学校数が出てからも

この張り紙が張ってある。

この学校のブロック塀はまだ危険と判断していないのか?

危険であっても応急対応策済みでないのか?

この学校のブロック塀の張り紙がまだ貼られているのは

このコンクリートブロック塀が

土留めと兼用しているからではないだろうか?

 

写真は道路から塀の裏側を撮ったもの、
わかりにくいかもしれないが、ブロック塀兼土留めとなっている。

*土留め(どどめ):掘削した面の土砂の崩れるのを防ぐための工事、
また、そのために作った柵など。つちどめ。(スーパー大辞林3.0より)

 

コンクリートブロックが塀として造られている場合は、

一団で造られているブロック塀が台風などの強風で煽られたり

地震などで揺すられて倒れないような構造(具体的には

建築基準法に準拠した方法で施工されている)であれば

ブロックの劣化がなければ危険性に問題はない。

しかし、

ブロック造の土留めは安全性確認が必要。

コンクリートブロック塀と土留めが兼用となっている場合や

ブロック造の土留めには台風による風圧や

地震による揺れなどの一時的に懸かる力ではなく、

日常的に*土圧が懸かり雨がふれば一時的には水圧もプラスで懸かる。

*土圧(どあつ):地下の構造物・埋設物が、上下左右の地盤から受ける土の圧力。
また、建物や擁壁が土と接する面にはたらく土の圧力。(スーパー大辞林3.0より)

土留めの場合は塀と違い、日常的に力がかかるので

塀とは違う構造にする必要がある。

しかし、コンクリートブロックを使用した塀兼用の土留めとしている

場合は往々にして、コンクリートブロック塀の延長として

特に土留めとしての考慮もせずに造られている場合が多い。

このような土留めは長い時間をかけて徐々に傾き

地震などの力が加わると崩れる危険性がある。

 

写真は以前横浜市内で立て替えの設計・監理をしたお宅の
立て替え前の隣地側に設置されていたコンクリートブロック製の
土留めの写真。
写真ではわかり難いが、コンクリートブロックが3段積まれているうち、
下の2段が土留めとなっていて、長年のうちに隣地側に傾いていた。
この土留めは、建物の建て替えとともに新しい土留めにやり替えた。

このようなコンクリートブロックを使用した土留めなんて、

過去のことで最近は無いんじゃないか、と思われるかもしれませんが

最近、都心に土地を購入される方から購入予定の土地について

意見を求められた。

 

その土地は一つの宅地を細分化された土地の

最後に残った二区画の片側で、

元々の高低差を最後に残ったこの二区画で

帳尻合わせをするように

敷地内にコンクリートブロック造の土留めが造られていた。

 

土留め(擁壁)は2mを超える場合、建築基準法による

確認申請を提出する必要があるが、それ以下の高さの土留め

の場合は割と何も考えずに造られているケースも多い。

 

コンクリートブロック単独またはコンクリートブロックの塀と併用の

土留めの仕様について

『壁式構造関係設計基準集・同解説』日本建築学会編に記載がある。

C種防水ブロックを使用したり、ブロックの空洞内に

モルタルでなくコンクリートを充填したりなどの条件があり、

(通常コンクリートブロック内の空洞にはコンクリートでなく

モルタルを充填する)

詳細な検討を行い十分な補強をしない限り、

ブロック2段までがコンクリートブロックで造ることが出来る

土留めと記載されている。

 

先ほどの横浜市内の住宅の既存ブロックによる土留めも、

下から2段を土留めにしているが、建築学会がいう2段を限界とした

コンクリートブロック造の土留めの条件には合致しない。

たった2段だからといっても、ずさんな施工をした場合は

土圧により長い時間をかけて傾き、地震などの大きな力が加わると

崩れる可能性もある。

中古住宅の購入は周囲の塀や土留め(擁壁)の確認も必要。(周囲を含めたインスペクション)

これから土地を購入される方だけではなく、

中古住宅を購入される方も敷地の周囲の土留め(擁壁)や

塀の安全性の確認が必要だ。

 

今年の4月から始まった既存住宅のインスペクションですが、

大概の既存住宅のインスペクションではチェックするのは

建物だけで、その土地や周囲にある塀や擁壁まで

チェックしている検査機関はほとんど無い。

 

購入予定の土地の周囲にそのような土留めや塀がある方は、

建物のインスペクションのみでなく、

周囲の工作物のチェックも必要です。

 

そのような検査をしてもらえる検査機関がない方は

当事務所でもインスペクションを行いますので、

お気軽にお声がけください。